Raycastを使ってマウスカーソルを画面中心に移動させるスクリプトをAIに書いて貰って公開した話
- 15 Mar, 2025

普段、3枚のマルチディスプレイ環境で仕事しているのですが、1枚を縦方向にしてるのもあって、マウスカーソルがよく迷子になります。

macOSでは、カーソルを激しく動かすと拡大表示されて見付けやすくしてくれる機能もあるんですけど、発動しない時もあってちょっとしたストレスでした。もっとスマートに、ワンアクションで目の前に帰還してくれたら良いのに…。
で、作ってみたというわけですね。こんな感じ。キーボードでコマンド実行したら、どこにいてもマウスカーソルが中心に来てくれると。

常用しているランチャー Raycast で呼び出せるようにして、コマンドを打てばマウスカーソルがディスプレイの中央に戻ってくるようにしてみた次第です。

これで、今までのちょっとしたストレスが解消されました。キーボードから手を離すことなく、マウスカーソルを呼び戻せるのは良いですね。良き良き😊
せっかくなので公開した
使ってみて意外に便利だなーと思いましたので、GitHubでリポジトリを作って公開してみました。名前は mcenter としました。mouse center の略です。

50行ぐらいの短いコードですが、同じようなストレスを感じている方がいらっしゃれば宜しければお試し下さい。Swift のコードをビルドして .sh と一緒に Raycast の command script を指定したディレクトリに突っ込むだけで使えるようになります。
自分で1文字もコードを書いていない
今回、iOSでお馴染みの言語Swiftを採用し、Raycastとの連携部分に shell script を使いました。ですが、コードは一文字も書いていません。READMEも一文字も書かず、GitHub に登録する操作も何もやってません。
今話題のAIエージェントの Cline を使いました。僕がやったのは、やりたいことを伝えただけ。
- 実現可否の確認
- 実装方針の策定
- 実装とテスト
- パフォーマンス調査と改善策の立案
- デバッグ
- GitHub 公開にあたり命名相談
- ドキュメント(README)の作成
- GitHub への登録
これらを全て Cline にやって貰いました。時々、Cline から「この方針で進めて良いですか?」「○○のファイルを上書きして良いですか?」「○○を実行しても良いですか?」と確認を求められて YES と答えるだけ。
プロトタイプは数分で、全部の作業には2時間もかかってません。動画撮ったりブログ書いたりする時間のほうが長いです😅 これを従来のやり方で進めてたらどれだけ時間がかかっていたか…。そもそも、やろうとすら思わなかったと思います。

使ったモデルは(もちろん) Anthropic の Claude 3.7 Sonnet。かかった費用は $3 程度。50行程度のソースなので、かかりすぎな感じはありますが、自分でコードを絶対書かないと決めてやっていたのでこんなものかも。工夫すればもう少し安く抑えられそうです。
何はともあれ、日々のプチストレスを解消するツールが、1,2時間程度で数百円で手に入るのですから、凄い時代になったものです。
2024年には一時期、v0 や bolt などの(Web)アプリの生成ツールが話題になりましたが、やっぱり普段使い慣れた開発環境そのものに自走するAIが常駐してくれるのは圧倒的に便利です。可能性は無限大のアイディア次第ですし。色んなツールや自動化を積み上げていけば、相当楽ができるようになる筈です。
ソフトウェア開発の今後に思うこと
生成AIが2022年に登場し、結構クオリティ高いコードを書けるようになってきたのが2023年、更に進化して開発環境に統合されるようになったのが2024年。そして本年、未来だった筈の世界が意外にも早く実現しそうになりました。
AIが人間の指示に従い、設計・実装・テスト・デバッグまでを自律的に行うようになる世界。

これをもってエンジニア不要論を喧伝する方はますます増えそうですが、僕はプロダクトやサービスを全部AIに丸投げできるようには決してならない…とみています。
むしろ、ソフトウェア開発ができて且つエージェントAIを相棒として使いこなすエンジニアこそが、より突き抜けていき、そうしたスキルを持たないエンジニアに圧倒的な差をつけていく未来を想像します。
そして、そうしたエンジニアを組織内に or パートナーとして抱えて、AI中心な開発体制を構築できた会社が、とんでもないスピードでアウトプットしていくことになりそうです。自分の会社もそんな未来に向けて歩みを加速させたい…。エージェントAIを評価しながら色々作っていく中で強く感じる今日この頃です😊